|
|
|
|
証拠となる事実が必要。子どもの証言は認められません。
【事実を証明しなければ訴訟では勝てない】
離婚訴訟においては、相手に離婚に至った責任があるということを、確たる証拠を持って主張しなければなりません。
例えば、再三にわたる不貞を理由として離婚を請求した場合、相手が「そんなのは嘘だ」と否定することもありえます。そのとき、主張する側が「再三にわたる不貞の事実」を証明しなければ、裁判所としては「その事実はない」ものとして判決を下さざるを得ません。
では、証明するためにはどのような証拠が必要なのでしょうか。
例えば、家庭を捨てて出て行ったという「悪意の遺棄」であれば、家庭に戻ってこないという事実で十分証明になり、相手が借りているアパートまで調べなくてもいいでしょう。
また暴力などであれば、医師の診断があれば、傷の程度にかかわらず、その事実を証明できたことになります。
もっとも争われる不貞の場合では、ラブホテルに入ったことが確認できれば、かなり強い証拠になりますが、探偵事務所などに依頼して尾行調査しても、実際にはそう簡単に不貞の証拠を突き止めることは難しいでしょう。
【最も多い離婚理由「性格の不一致」】
ところで、家庭裁判所に持ち込まれる離婚動機のうち、最も多いのが男女ともに「性格の不一致」です。結婚とは、育った環境も性格も全く異なる二人が共同生活をはじめるわけですから、性格の不一致があって当然といえば当然です。なのに、「性格の不一致」で離婚を請求するというのは、理屈として考えれば正しいことではないようにも思えます。
しかし、夫婦生活を送るうちには、子育ての問題、生活態度の問題、性生活の問題から相手に対して不満がつのり、愛情もしだいになくなり、円満な夫婦関係を回復することはできない状態にまで破綻をきたすこともないとはいいきれません。「性格の不一致」で離婚することができるか、あるいは離婚すべきかすべきでないかは、とても難しい問題なのです。
「性格の不一致」などの場合は、具体的な会話、口論の内容などを述べることによって、それが作り話ではなく事実であるらしいという心証を裁判官にいだかせることが必要です。
ちなみに、証人として子どもを呼び出すということはまずありません。子どもが証人として中立の証言をするかどうか保証できませんし、子どもの福祉に反するという理由からも、子どもの証言をとることはできません。
【「夫婦生活が破綻している」基準とは】
離婚を認めるか否かの判断の際の「離婚した方がよいほど破綻しているかどうか」には客観的な基準があるわけではなく、現実には、裁判官個人の裁量にゆだねられています。
単に「夫婦生活が破綻している」といっても、はっきりした法定離婚事由もないままに、裁判所が離婚を認めることはまずありません。
しかし、離婚裁判に至る夫婦の場合には、かなり深刻な事情があるわけですから、程度の差はあれ、夫婦生活は破綻している例が多いと思われます。裁判所が「よく話し合って」とか、「反省すべき点を反省し」などとして離婚請求を棄却する判決を出しても、「覆水盆に帰らず」で、円満な夫婦生活を回復するのは現実には難しいといえます。
|
|
|
|